飼猫・野良猫中央研究所

北洋祐のブログ。主に猫のこととスタートアップ・新規事業のこと。

続・データから考える「猫の殺処分」問題 ~殺処分が起こる原因とその対策~

 先日、以下のような記事を書きまして、今回はその続編です。

shashin.hatenablog.com

 

前回のおさらい

前回の記事では、ざっくりと以下のようなことを書いていました。

  • 動物の殺処分にまつわる問題は、デリケートかつ複雑で、主観的な議論に陥りやすい。だからこそ、客観的なデータの蓄積と、それに基づく議論が必要なのではなかろうか。
  • 「客観的なデータ」は、環境省NPOによって整備されて、公表されてはいるものの、一般人からすると実態がどうにもわかりにくい。それは、「見せ方」の問題と、「データ整備の方法」の問題の2つに原因があると思われる。
  • 「見せ方」の問題に関しては、例えば以下のような図に示すと良いのでは??
  • 「データ整備の方法」については、用語の定義があいまいで、自治体間で解釈が異なっていることがまずい。あと、調査の項目についても、いくつか再考の余地がありそう。

図1(再掲):

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前回は、このように「入手可能なデータを見やすく整理してみた」、というのが主な内容でした。ただ、これだと肝心の「殺処分を減らすにはどうすればよいのか」というところについてはほとんど何もわかりません。

ということで、今回はもう少しデータを付け加えていって、そのあたりについても考えてみようと思います。

まず、猫の殺処分を減らすには、大きく分けて、保健所等での猫の「引き取り数を減らす」ことと、保健所に連れてこられた猫の「譲渡、返還を増やす」という2つの方向性があります。もちろん両方大事なのですが、今回はひとまず前者について考えてみることにします。

猫の「引き取り数」を減らすには?

 これを考えるためには、「猫がそもそもどのような理由で保健所等に引き取られているのか」そして、行政では「殺処分を減らすためにどのような取り組みを行っているのか」という情報を知る必要がありそうです。

 保健所での「引取り」が起こる原因と対策 

そこで、以下のようなグラフを作ってみました。各自治体では、保健所等で猫を引取る際に、猫を持ち込んだ理由を書かせることになっており、その内容の集計結果がNPO法人地球生物会議の発行している『全国動物行政アンケート結果報告書』で示されているのです。ちなみに、複数回答ありなので、各項目の数を足し合わせても100%にはなりません。

図2:

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これを見ると、飼い主が「世話ができなくなった」ことで、保健所に連れてこられるケースが圧倒的のようです。(というか、保健所に連れてきているという時点で、全部これに該当するような気もしますが。)

もう少し具体的な回答では、「近所からの苦情」や、「飼い主の病気・死亡」、飼い主の「転居」などがきっかけで、保健所に連れてくるケースが多いようです。これらは、おそらくは子猫よりも成猫が多く当てはまるのでしょう。

また、「計画外繁殖」の項目も非常に多くなっています。これは、飼い猫が予定外に妊娠して出産した、ですとか、野良猫が自分の家の敷地内で出産した、というケースでしょう。当然、これらは子猫がほとんどのはず。

これらの情報を整理して、さらに、行政が実施している猫の引取り数を減らすための取り組みを追記したものが、以下の表です。

図3:保健所等における猫の引取りの原因と対策

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猫の「引取り数」を減らすには、ここで示している「主な原因」にアプローチしていくことになります。とは言っても、行政ではすでに様々な取組を実施しているので、それらを点検し、もっとこうしたらよいのでは??ああしたらよいのでは??ということを議論し、試行錯誤しながら、引取り数を最小化していく、というのがまっとうなプロセスだと考えられます。

例えば、(本当に例えばの話ですが)、上の表(図3)を土台にすると、以下のような議論ができそうです。

  • 「所有者からの子猫の引取り」は、全体の28%と大きな割合を占めていて、ここを減らすことができれば、猫の殺処分の削減に大きく貢献しそうだ。
  • ここを減らすためには、「飼い猫の計画外の妊娠・出産」を減らしていくしかない。そのためには、「これ以上猫を飼えないよ」という家では、飼い猫になるべく不妊手術を受けてもらうか、完全室内飼いをしてもらう必要がある。
  • そもそも、飼い主が猫に不妊手術を受けさせない理由としては、「費用的な負担」や、「不妊手術に対する心理的な抵抗感」がありそうだ。
  • 費用負担がネックになっているのだとしたら、行政がその費用の一部を補助することで、不妊手術率は改善できるだろう。でも、猫を飼っていない人からすると、飼い猫の不妊手術に税金を使うことは納得しがたい。
  • だとすれば、猫税のようなものを猫の飼い主から徴収して、それを財源に猫の不妊手術への助成をすればよいのでは??

これはあくまで例ですし、つっこみどころもたくさんあるのですが、基本的にはこんなような形で色々と議論をしていくことが重要なのかな、と思っております。

まとめ:

今回のまとめとしては、以下のような感じでしょうか。

  • 猫の殺処分を減らしていくためには、「引き取り数を減らす」ことと、保健所に連れてこられた猫の「譲渡、返還を増やす」という2つの方向性がある
  • 「引取り数を減らす」ための方法を考えるには、まず、猫の「引取り」が起こる原因を整理・分析することが大切
  • そのうえで、行政が実施している取り組みを点検し、客観的なデータに基づきながら、改善点を探っていくという姿勢が求められる

 

最後に、わが家に住まう謎の生命体の撮影に成功したので、この場を借りて公開いたします。

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