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飼猫・野良猫中央研究所

北洋祐のブログ。主に猫のこととスタートアップ・新規事業のこと。

Maker Faire Tokyo タチコマ関連のパネルディスカッションまとめ

この週末はMaker Faire TOKYO 2016に行ってました。


初日にあった講演会の一つが面白かったので、備忘がてらメモを。(音量の問題などで声が聞き取れない箇所も多く、脳内で勝手に補完しているので、話者の言いたいことと食い違っている可能性は高い。)

“SFにおけるロボット”を活用したMAKE。その現在と未来。
攻殻機動隊 S.A.C. タチコマを活用した創作活動の広がり
http://makezine.jp/event/mft2016/presentations/
f:id:kita_yoo:20160807232334j:image
【前置き】
士郎正宗の代表作品の一つ「甲殻機動隊」に出てくる非人間型のロボット「タチコマ」。世の中には、趣味が高じてタチコマを実際に作っちゃったマニアックな人たちが結構いる。このような「SFにおけるロボット」を「実際に作る」という行為にはどんな意味があって、どんな将来に繋がっていくのかを考えるパネルディスカッション。司会役は、Karakuri Productsの松村礼央氏。

【コンテンツとの関わり方】
甲殻機動隊のような「コンテンツ」に対して、消費者がとる態度は大きく3つに分けられる。一つは、純粋に「コンテンツを消費する」という態度。二つ目は「消費しつつも趣味的に自分で手を動かして作ってみる」という態度。三つ目は「消費して、作ってみて、さらにそれを積極的に外に出していく(情報発信など)」という態度。後ろの2つは、要は「二次創作」の領域で、かつ「Maker」の領域でもある。Maker Faireに出ているような人は3番目のカテゴリに含まれる。

【空想の具現化の際に気をつけていること】
アニメ上のタチコマは、当然ながら現実世界で再現することを念頭に置いたものではないので、そのままの形で再現することは不可能に近い。例えば重心の問題で自立しない、など。だから、タチコマを再現する際には原作に可能な限り近づけつつも細部を変えていく必要があり、そこが非常に難しい。大きく変えて原作ファンのイメージと遠いものになってしまっては良くないし、原作に忠実に作った結果ロボットとしての機能が低くなっては意味がない。だが、それがSFロボット製作の醍醐味とも言える。

実際に形にしてみることで得られる情報は非常に多く、この情報を逆に原作へフィードバックしていくことで、SF作品上のロボットをさらにリアルなものにしていく、ということも可能かもしれない。
原作と二次創作の間で相互作用が起きて、両者がともに良くなっていく、というような未来を実現したい。

ゲームマスターとの付き合いかた】
原作者や版権所有者などのことを「ゲームマスター」と呼ぶ。二次創作は、これらゲームマスターとどのように付き合うか、という点が重要。現状では、趣味の範囲の二次創作はゲームマスターによって「大目に見られている」という状況。ワンフェスなどでの「当日版権システム」もその延長と考えられる。ゲームマスターにとって、このような趣味的な二次創作は、原作の魅力を高めたりファンを増やすことに資するものと認識され、歓迎されるケースも多い。一方で、それが趣味の範囲から逸脱して、大きなお金が動くようなことになると話が変わってくる。ゲームマスターによっては「営業妨害」と捉えて大きなトラブルになる可能性もある。どこまでが許されて、どこからはNGなのか、その明確な境目は無く、今言えることは「お金が動きそうなときは、事前にゲームマスターとしっかりコミュニケーションをとる必要がある」ということだけ。

先ほど話題に出た通り、良い二次創作は原作にも良いフィードバックを与えるものなので、ゲームマスターと二次創作者が良い関係を築くことは、たとえ大きなお金が動くケースでも可能である。

【空想の現実化の先にあるもの】
ロボットに関しては、ロボットが人間社会に溶け込むための、ハード・ソフト両面の「インフラ」が整備されていない。
例えば、自動車で考えれば、自動車が走るための「道路」や、「信号」などがハード面でのインフラにあたり、「運転免許」や「歩行者を含めた市民のリテラシー(車は急に止まれない、みたいな常識)」などがソフト面でのインフラにあたる。

このようなインフラは、ロボットにはまだ整備されていないだけではなく、現状では、ロボットが普及するためにどのようなインフラが必要なのかすらわかっていないような状態であり、これを変えていくためにはSFの力を借りるのが効果的なのではないか。(このあたりは特に脳内補完しているので正確ではなさそう)

つまり、SF作品の中ではロボットが溶け込んだ社会の姿が描かれており、そこに必要なインフラも精緻に描かれている。だからこそ、SFのロボットを起点にロボットが実装された社会を考えていくことに意味があるのだろう。また、SFで既に描かれているロボットであれば、作品を知る多くの人が、「そのロボットがどのような役割を持ち、どのように動くのか」を理解しており、ソフト面のインフラとしての「ロボットに関する共通認識」を作る上でも効率的である。

ただ、SF作品ももちろん万能ではなく、そこに描かれていない要素も多いし、その世界観をそのまま現実に適用できるわけではない。例えば、甲殻機動隊の世界では、実はタチコマのようなコミュニケーションロボットは一般にまでは普及していない。つまり、「原作」と「あるべき未来(タチコマが広く普及している未来)」に乖離がある。この溝を埋めていくのは、二次創作者の役割だと考えている。

「原作」の枠の中だけで活動するのではなく、ある意味で原作を超えていく。そうすることで現実社会をより良く変えていくとともに、原作にもフィードバックしていく。つまり、目指すのは「SF」と「現実世界」が影響し合い、両者がともにより良いものに変化していくという将来像で、その相互作用のハブになるのが「二次創作者」である。

【通常のロボットとSFロボットの違い】
企業や大学が研究して開発する通常のロボットは、あらかじめ何らかの「目的」を持ったものとして作られている。しかし、「SFロボットの再現」にはそのような特定の目的はなく、ここからこれまでと違った新しい視点・新しい種類のイノベーションが起きるのではないかと考えている。