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飼猫・野良猫中央研究所

北洋祐のブログ。主に猫のこととスタートアップ・新規事業のこと。

「ペット関連ビジネスの将来について」_月刊「事業構想」の取材で話したこと

(@kitayooo)と申します。

先日、月刊「事業構想」というビジネス雑誌からの取材がありました。テーマは「ペット関連ビジネスの将来」について。

その内容が今月号に載っているので、もしよろしければ書店等で手にとっていただければありがたいです(宣伝)。

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月刊事業構想 (2017年1月号『専門外で成功するペット産業』)

月刊事業構想 (2017年1月号『専門外で成功するペット産業』)

 

私はけっこうアドリブが効かない性格なので、取材していただくときには、いつもこちらの言いたいことをまとめたペーパーを事前に用意しておくようにしているのですが、当然ながらその全てが記事になる訳ではなく、大半はお蔵入りになってしまいます。

ただ、それだとちょっともったいないように思いますし、今回はこのブログで、そのときのペーパーの内容を公開してしまおうかと思います。あくまでアイデアをまとめた「メモ」なので、文章としてはおかしなところがたくさんありますがご勘弁ください。

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ペットと人間の関わりの変化

猫と犬は、人間社会のなかで、常に何かしらの「役割」を果たしてきた。

最初の役割は「働き手」としてのもの。猫は、やっかいなネズミを退治するという役割を持っていたし、犬は、人と一緒に獣を狩り、羊を追い、家の番をするという役割を持っていた。

人は、犬や猫のこのような「働き」を認めて、その対価として彼らに食事やねぐらを提供する、という側面があった。

一方で、犬や猫のそのような「働き口」は、今はほとんど失われている。その代わりとして、犬や猫たちが担うようになったのが、「愛玩動物」という役割だ。

「玩」という漢字は、「まるくかこんだ手の中でころがしてあそぶ」ことを意味する。「愛(め)でて、もてあそぶ」ことが「愛玩」の意味するところだ。

この時点では、ペットは「人」よりも「モノ」に近い存在で、「大切にするけど、人とは決定的に違うもの」であったと言える。

一方で、ここ数十年で、この「愛玩動物」という役割も徐々に変わりつつある。

経済的に豊かになりペットにかまう余裕が生まれたことや、核家族化・少子化の進行により、家庭の中でペットが占める重要度の割合が高まり、ペットは人間にとって「モノ」よりも「人」に近い存在へと変わっていく。

これは、大都市への人口の集中という現象とも関連がある。都市では、住宅が狭く近所との物理的な距離が近いために、大型犬などは飼いづらいし、犬を「庭で飼う」ようなことも難しく、小型犬の室内飼いが多くなる。猫に関しても、交通量が多く危険な都会では、自由に外出させるような飼い方を避ける飼い主が多く、室内飼いが多くなる。

室内飼いの環境では、ペットと飼い主が一緒にいる時間が長くなり、その分だけ愛情が湧く。こうして、ペットは「愛玩」動物から「伴侶」動物、「コンパニオンアニマル」へと役割を変え、今では犬や猫を「家族の一員」と考える人も多い。

また、最近では、人間は犬や猫に対して、もう一つの役割を与えている。それが、「魅力的なコンテンツ」としての役割である。雑誌では「猫を特集すると売れる」というのが定説となっているし、猫を扱ったテレビ番組、書籍やマンガも非常に多い。

このペットのコンテンツ化は、SNSの普及が原因の一つとなっていると考えられる。

SNSにおいて、ペットの写真や動画は、最も気軽に投稿できるものの一つである。多くの飼い主が、SNSで自分のペットについて発信し、それをもっと多くの人が目にする。そうするうちに、皆がペットコンテンツの魅力に気付き、今のペットコンテンツブームに繋がった。

このように、かつては人間にとって「働き者」であった犬や猫は、今では「家族」であり、かつ「魅力的なコンテンツ」となっている。

伸びつつある分野

「ペットの家族化」という視点から考えると、人が家族に対して「してあげたい」、「必要だ」と考えることのほとんど全てのサービス・商品に、潜在的には市場が存在すると言える。特に、人間では普及しているにも関わらず、ペットにはまだ十分に普及していないサービスや商品は、今後の市場拡大が予想される。

例えば、「健康」、「医療(保険)」、「介護」、「葬儀」、「レジャー」などは、ペットが愛玩動物だった頃はさほど重視されていなかったが、家族化が進んだことで重視されつつある。 

例えば、「ペット用品」市場は、ほぼ横ばいの状況だが、製品カテゴリで言うところの「デンタルケア用品」や、「おむつ」などは年率10%を超える勢いで成長している。

また、「ペット向けサービス」に関しては、データがあるものでは、「葬送」、「保険」、「医療」が大きく伸びている。

  • ペットの「再生医療」(脂肪由来幹細胞の培養と注射)とか。
  • 鍼灸、メディカルアロマとかも。

「介護」や「レジャー」に関してはデータはないが、大手の参入が増えているなど、確実に市場は拡大基調にある。

  • イオンペット(イオンモール幕張新都心)による、ペットの介護ケアサービス。24時間、介護スタッフ、獣医師在住。ジャペルも参入。
  • アニコムによる、「アニコパーク 西新宿」(閉園済み)
  • ペットと暮らしやすい沿線づくり「4&2経堂店」

ペット関連市場のなかでも大きな割合いを占める「ペットフード」に関しては、高齢犬や高齢猫専用のフード、健康に配慮した食品、特別療法食なども登場している。

  • 現代製薬から、機能性食材を利用した犬用栄養補助食品「ワンタス」
  • マルカン「ごん太のフルーツグラノーラ
  • 特別療法職(ロイヤルカナン、日本ヒルズコルゲート)

これらの領域に関しては、(保険を除き)まだ支配的なプレーヤーが現れていないので、今後、色々な企業が参入して市場が活発化していくと考えられる。

将来的に有望な事業領域

ここまでは、既に起こっている変化の話だった。以降は、少し踏み込んで、予想と期待が混ざった話をしたい。

これからは、「ペットの家族化」に「テクノロジーの発展」という要素が重なり、大きな市場が生まれると考えられる。

IoT、ロボット、ビッグデータ解析、AIなど、ここ数年で話題となっているテクノロジーの発展は、ペット関連ビジネスにも大きな影響を与える。

例えば、「ペットと飼い主のコミュニケーションを仲介する」、「ペットの情報を収集・分析しフィードバックする」というところは、ここ数年のテクノロジーの進化で実現できるようになったもので、全く新しい市場が生まれるところだと言える。(ペット用ウェアラブル市場が10年後には世界が2000億を超える、という予想もある。真偽不明)

情報収集(ウェアラブル)、情報の分析(ビッグデータ解析)、飼い主へのフィードバック(AI)、世話の自動化・高度化(ロボティクス)という感じ。

一方で、これらは対人間のサービスでもまだ始まったばかりなので、本格的な普及はもう少し先になりそう。現状ではまだ、事業として成功しているケースは少ない。

このような「ペット関連IoTビジネス」において重要な要素は以下の2点。この2要素を両方とも押さえた企業が市場を切り開く。

それは「テクノロジー」と「コミュニティ」だ。 

現在のところ、国内でも大手企業やベンチャー企業の多くがこの領域に取り組んでいるが、成功には至っていない。それは、テクノロジーには秀でているが、コミュニティの要素が足りていないから。

この手のビジネスには「大量の情報を集めるためのコミュニティ」が必ず必要だが、ベンチャー企業やテック系企業では知名度やノウハウの不足からコミュニティの形成までは至らない。そのため、今後はペット関連の「コミュニティ」を持つ企業が、この分野の拡大の鍵を握ると考えられる。

質の高いペット関連コミュニティを有する企業と言えば、アニコムのような保険会社、フェリシモのような通販会社、ほぼ日(ドコノコ)など。

例えば、アニコールとアニコムが組んだりすると、面白いことになるように思われる。おそらく、既にそのような動きは水面下で始まっているはず。

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と、このへんでタイムアップでした。

なにはともあれ、取材していただくのは本当にありがたいですね。こちらも、考えをまとめる良いきっかけになりました。

 

(kitayooo)