飼猫・野良猫中央研究所

主に猫のこととスタートアップ・新規事業のこと。

素人が初めて商標を出願した話(1日くらいでできる)

 昨日、生まれて初めて商標を出願しました。これからの世の中、私のような素人がものづくりを始めて商標出願するような機会も増えてくるでしょうから、参考までに、その流れなどを貼りつけておこうと思います。まだ権利化できた訳でもないので、あくまでご参考まで。間違ってたらごめんなさい

特許庁出願課)

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 出願の経緯

 

今、ネコのオモチャやトイレを開発しておりまして、来年度くらいに販売開始を予定しています。といっても、会社のような形でやっている訳ではなく、私個人+ネコ好きの友人数人で細々と進めているところ。

商品開発とか販売とかは基本的に全員が素人ですので、手探り状態で進めているところですが、ブランド名だけは思い付きで決めてしまいました。

その名も「necocat」。ネコキャットと読みます。言わずもがな、猫とcatを重ねた造語です。

良い商品ができるかどうかもわからない今の段階で、本当に商標出願が必要なのかと言うと微妙なところですが、そこまで多額の費用がかかる訳でもないので、一度勉強がてら出願してみようと思った次第です。

予習:商標権ってなんぞや

商標権って、なんとなくわかっているつもりではいるんですが、言葉で説明するのはなかなか難しい。ということで、特許庁のHPなどをざっくり調べたところ、以下のようなものなのではないかと。

商標(今回は"necocat")を特許庁に出願して権利化すると、他者が同じ商標を同じ分野で使うことを防ぐことができる。

これくらいの理解でよいのでしょうか。つまり、特許庁に「猫グッズとして”necocat”の商標を使う権利」を登録すれば、他者は猫グッズとして"necocat"の商標を使えなくなる。(商標権は、出願の際に指定した商品やサービスの範囲内までしか及ばない)

ちなみにざっと調べた中では、以下のページがわかりやすかった。

商標調査をしてみる(3時間くらいかかった)

商標権のなんたるやがわかったところで、商標調査をしてみることにしました。商標権は、当然ですが、他者がすでに登録している商標は登録できません。そして、他者の商標と類似する商標も登録できません。

なので、自分が出願しようとしている商標が、すでに誰かのものになっていないか、似ている商標が登録されていないか、調査をする必要がある訳です。

商標調査の方法については、色々と調べましたが、こちらのテキストが本当にわかりやすかった。これ書いた人すごいな。

つまり、流れとしては、まず「"necocat"を権利化する範囲(商品・役務)を決め」、次に「その範囲で”necocat”に類似する商標がないか調べ」、なければその内容で出願書類を作成する、という流れのようです。

権利の範囲を決める

まず、"necocat"を権利化する範囲を決めます。既に述べた通り、商標権は、出願の際に指定した商品やサービスの範囲内までしか及びません。そして、広い範囲で権利化すると、その分お金がたくさんかかります。そのため、どこまでの範囲で権利化するかというのは、商標出願の永遠の課題であるようです。

necocatに関しては、可能であれば猫にまつわる全ての製品・サービスで権利化したいところですが、そんなことをすると費用が大変なことになるため、現実的な範囲に絞り込まねばなりません。下記の検索サービス「IPDL」を駆使しながら、ガイドに従って範囲を絞り込んでいく作業。

結局、あまりお金もないので、今回は1つの区分のみで出願することとしました。ペットグッズの中でも、necocatとして開発しようとしている猫の日用品類は、ほとんどが第21類の中に含まれているので、まあ何とかなるか、という判断。ただ、「愛玩動物用おもちゃ」が第28類の中に含まれているのは辛い・・・。

最終的な権利化の範囲は以下のようにしました。

【第21類】愛玩動物用トイレ、愛玩動物用爪とぎ、愛玩動物用ケージ、愛玩動物手入れ品、愛玩動物のし尿処理剤、愛玩動物用自動給餌機、愛玩動物用食器 

この判断が良かったのか悪かったのかは、数年後に明らかになることでしょう。

類似する商標を調べる

次に、既に誰かによって権利化されている商標のなかで、上記necocatに類似するものがないか調べます。それには、同じIPDLのなかのメニュー「呼称検索」を活用します。

詳細は「無料商標調査ガイド」に書いてあるので省きますが、商品・サービスは、第~類という「区分」とは別に、「類似コード」によっても分類されています。類似コードは文字通り、類似した商品・サービスのグループごとにふられた番号で、この番号が共通する商品・サービスは「似ている」とみなされます。ちなみに、愛玩動物用トイレなど、私が挙げた商品は全て類似コード19B33でした。

つまり、誰か他の人が、19B33の類似コードを持つ商品で、”necocat”に似た商標を登録していたら、私の出願は拒絶される可能性が高いことになります。

IPDLの呼称検索画面で、「呼称」に”ネコキャット”を、「類似コード」に”19B33”を入力し、緊張しながら検索ボタンを押すと、検索結果0件! よかった・・・。

念のため、類似コードで絞らず全体で検索をかけたところ、「エコキャット」というのがいくつか出てきました。これって似てる??いや、意味は全然違うしな・・・。どうなんだろう。どっちみち区分も類似コードも違うので大丈夫かな??

 

項番出願/登録番号  国内登録  商標(検索用)種別称呼(参考情報)
1. 登録5117367   ecocat 12 エコキャット
2. 登録5342653   eco-CAT 12 エコキャット,エコ,イイシイオオ,キャット,シイエイテイ
3. 商願2014-008567   Eco-Cat 12 エコキャット,エコ,イイシイオオ

 

商標登録願(出願書類)を書く

 あとは出願書類を書いて特許庁に出すだけというところまで来ました。書き方のマニュアルについては、特許庁(の外郭団体)が出している「商標出願の書き方ガイド」なるものがあるのですが、これは自分には全然理解できなかった・・・。

 そこで、またポチポチと検索していると、こんなサイトを発見。

自分で商標登録出願!TMジェネレーター

必要事項を入力して出力ボタンを押すだけで出願書類が生成されるというありがたい品。どうやら若い弁理士さんが作ったサービスみたい。便利な世の中です。結局、10分くらいで書けてしまいました。特許庁のマニュアルと格闘した1時間はなんだったのか。

いざ出願へ

書き忘れていましたが、商標の出願は電子出願と書面出願があります。電子出願は楽ちんのようですが、初期費用(電子証明書の取得)がかかるので、今回は書面での出願としました。

本当は郵送でも良いのですが、職場が近いので仕事の合間に直接特許庁へ行ってきました。

 

(天気が悪かったのもあり、何となく厳かな雰囲気)

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 (中も厳か)

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( こちらです)

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(出願課)

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(特許印紙を貼って提出)

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(「偉大なる発明家」として豊田佐吉さんのレリーフも)

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書面の提出自体はすぐに終わります。滞在時間は10分程度。窓口の方がとても親切で、権利化までの流れを丁寧に教えてくださいました。

感想:費用や手間のことなど

出願しようと思い立ってから、出願書類が完成するまでにだいたい4~5時間くらいでした。思ったより簡単、というのが率直な感想。しかも大部分は、わかりやすい解説サイトを探すのに費やした時間なので、ここで紹介したサイトを見ればもっと早くできるかもしれません。

一方で、自己流でやっていると、権利範囲の取り方などが適切かどうか不安が大きく、予算がある人は弁理士さんなどにお願いするのがよいのかもしれません。ただ、自分で商標権を取るというのは、結構面白いですし、テンションも上がるので、やはり自分でやるのはおすすめです。

費用的なことに関しては、まとめると以下の通り。

  • 出願手数料が3,400円+(区分数×8,600円)
  • 電子化手数料が1,200円+(提出書類の枚数×700円)

これに加えて、もし権利化できた場合には、

  • 設定登録料が(区分の数×37,600円)

私の場合は、区分が1、枚数も1枚だったので、全部で51,500円かかることになります。これを高いとみるか安いとみるかは場合によりけりですね。

 

今後の流れ

電子化手数料の払い込みなど、細かなものはあれど、これからは特許庁で出願書類の審査に入ります。とりあえず、結果が出るのは6カ月くらい先のことのようです。気長に待つしかない。何か動きがあればまたご報告いたします。

長文失礼いたしました。最後に、年賀状にも使っていただける、猫と亀の縁起の良い画像を掲載しておきます。

 

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追記:商標登録できました

その後、3月中頃に特許庁から書類が届き、無事登録できることになりました。

よかった。

 

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