野良猫の生息個体数の推計②_千葉県の平成21年調査
前回は以下のような記事を書きましたが、今回はその続きです。
すでに何回か引用している「全国動物行政アンケート結果報告書」によれば、野良猫の個体数に関する調査を実施している自治体は全国でも数が非常に少なく、東京都、千葉県、金沢市、大阪市、豊中市の5自治体だけとのこと。
このうち東京都が実施した調査については前回検討したので、今回は千葉県の調査について考えてみよう。
千葉県は、住民向けアンケートと現地調査を組み合わせて野良猫数を推計している
千葉県の調査は、平成21年に実施されたものが最新のよう。けっこう昔だ。
調査の方法は、簡単に言うと、県内の飼い猫と野良猫を以下のような形で4種類に分類し、アンケート調査と現地調査を組み合わせて、Ⅰから順に算出していき、最後にⅣの数(野良猫数)に辿り着く、というもの。
具体的には以下のような感じ。
STEP1:住民向けのアンケートで猫の飼育状況について把握
住民アンケートで、猫の飼育状況を把握し、Ⅰ:Ⅱ:Ⅲの比率を求める。
この比率に、別途推計した「県内の飼い猫の総数」をかけることで、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲそれぞれの数を算出。
STEP2:現地調査で「首輪ありの外猫」と「首輪無し外猫」の割合を算出
現地調査によって、屋外にいる猫のうち、「首輪をした猫(Ⅱ)」と「首輪をしていない猫(ⅢとⅣ)」の比率を算出。
STEP1で、ⅡとⅢの比率はわかっているので、ⅢとⅣの比率もわかる。
STEP3:仕上げ
あとは、Ⅲの数に、ⅣとⅢの比率をかければ、Ⅳが求まる。推計の結果、千葉県内の野良猫は17万5千匹という結果に。
計算の過程を見る限り筋は通っているように思える。また、この数は千葉県内の飼い猫数の約3分の1ということで、感覚的にもしっくりくるような気がする。
いちおう、ここでⅠ~Ⅳの比率をチェックしてみよう。
気になる点としては「首輪をしていない外飼いの猫」が猫全体の16%もいるということだ。ううむ。これはどうなのだろう。ちょっと多すぎじゃないだろうか。この中には「餌やりさんが餌をあげてる野良猫」がかなり入っているのではないか。
もう、いっそのこと、首輪をしていない外猫は全て「野良猫」とカウントしてしまったほうがすっきりするような気もする。このあたりは「野良猫」の定義の問題なので、また改めて考えてみる必要がありそうだ。
まとめ
このように、他人が企画・実施した調査の過程を追っていくのは楽しい。この千葉県の調査は、かなり練り込まれた内容になっていて、限られた予算のなかでしっかりしたアウトプットを出しているなと感じられる。担当の方はご苦労されただろう。出ている数字も、けっこう実際の数字に近いのではないかと思うけれど、どうなんだろう。
野良猫の生息個体数の推計は、どうもまだ方法が確立していないようなので、他の手法も色々と試しながら、精度を高めていくのが良いのだと思う。。
自分でも、そのうち何かの方法を考えたい。